学長室からのメッセージ

 

 前期卒業式を迎えられた学生の皆様、ご家族、ご友人の皆様、おめでとうございます。これから皆さんには活水女子大学卒業生として、プライドをもって世の中に出て行ってもらいたいと願っています。そのためには、この活水女子大学がどういう学校であるかを、本日あらためて確かめましょう。


 活水学院は明治12(1879)年に、アメリカのプロテスタントのメソジストの教会から派遣されたお二人の女性の宣教師によって開かれました。エリザベス・ラッセル先生とジーン・ギール先生です。日本では江戸時代はキリスト教が禁止されていましたが、幕末に「鎖国」をやめ、明治維新後はアメリカやヨーロッパの主要先進国と対等に交際をしていくために、それまでのキリスト教禁止政策を変更しました。こうして明治6年以後、宣教師や牧師が日本に来て教会や学校を建てることが可能になりました。


そのとき、こうしたクリスチャンの牧師や宣教師によって日本に導入された考えが、「教育を受ける権利は誰にでもある。男性のみでなく、女性にも同じ権利がある」という、画期的な考えでした。


 今朝のニュースで、ニューヨークの国連総会において、パキスタン出身のマララ・ユスフザイさんが、「世界中の途上国にいる子供たち、とくに女の子たちに教育の機会を与えてほしい」と演説されたということが報道されていました。日本では現在、女性が学校に行き、勉強をすることは当たり前になっていますが、活水学院がたてられた136年前は、そうではありませんでした。136年というと遠い昔のように思う人がいるかもしれません。しかし今年は「太平洋戦争終結から70年」とか、「広島・長崎の原子爆弾被爆から70年」という言い方がしばしば聞かれました。136年はその70年のたったの倍でしかありません。実は、明治はほんの少し前に過ぎないような時代でした。


 今は、誰でも学校に行けます。勉強したければ学ぶことが出来ます。学校に払う授業料がなくとも公共放送受信料を払えば、テレビやラジオの教育番組、放送大学、高等学校講座など、いくらでも勉強が続けられます。大学図書館や市町村などの公立の図書館に行けば、本はたくさんあります。真面目な本ならリクエストすれば図書館が買ってくれます。今の日本はこんな素晴らしい国になりました。皆さんより若い、たった17歳のマララ・ユスフザイさんのような女性が生命がけで、「女の子に教育の機会を」と訴えているとき、私たちは自由に勉強できる機会を与えられているのです。そのことを私たちは感謝を持って受け止め、その機会を精一杯用いなければなりません。


 大学卒業は新たな勉強の始まりです。では、なんのための勉強でしょうか。それは知性と品性と人間性を一層磨くための、一生続けてゆくべき勉強です。


 知性とは何でしょうか。私は、五・七・五のフレーズで言えば、「知性とは 本当ですかと 問う勇気」だと思っています。自分が本当に納得できるまで、人が言ったことに対して「ほんとうですか?」と問い続けること。それには勇気が必要です。とくに相手が年上であったり、上司であったりする時には、その人の答えに心から納得するまで、繰り返し、問い続けなくてはなりません。そんなときにはどうか勇気をふるい起こしてください。


 二つ目の「品性」とは何でしょうか。それは真に良いものの価値を知る経験だと思います。美術品でも、音楽でも、文学作品でも、身のまわりにあるものすべてに対して心のアンテナを立てておいて下さい。そして本当に優れた作品、優れた人間、優れた考えに出会ったら、「素晴らしい」と思えることに出会ったら、それを追い求めていってください。


 三つ目の「人間性」とは何でしょうか。それは、本当の人間とは何かを考えることです。獣のような行動をとる人がいます。悪魔のようなことを考える人がいます。でもそれは本当の人間なのでしょうか。本当に良い人間とはどういう存在なのでしょうか。人類は歴史に残っているだけでも1万年以上にもわたって、ずっとそのことを考え続けてきました。この問いは私たちに死の時が訪れるその日まで、私たちの前に存在し続けます。私たちは人間になるために生きている、とさえ言えます。


 皆さんが今日の卒業式のあと、どのような道に進まれるかは知りませんが、知性を磨き、品性のもとになる、すぐれた価値あるものを求め続け、本当にあるべき人間の理想の姿に近づくことができるように、さまざまな形で学びを続けていかれることを心から願っています。

 

 
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