学長室からのメッセージ

 

 皆様、ご入学おめでとうございます。ご家族、ご親族の皆様にも心よりお祝いを申し上げます。ご来賓の皆様、ご臨席をありがとうございます。

活水女子大学が開かれたのは、今から136年前の1879年、明治12年のことです。明治維新から12年、佐賀の乱から5年、西南戦争からわずかに2年しか経っていない時期でした。

 昨年秋に高校生に大学紹介をしたことがあります。その時高校生から「歴史と伝統のある学校は、どこがよいのですか」という、鋭い質問が出ました。私は少し考えて、「歴史と伝統をもつ学校が良いのは、自信を持って教育にあたることができる点です」と答えました。その後その問いを折に触れて思い出しますが、私がその時に答えた内容は間違っていないと思っています。私たちはこの活水学院で、良い教育を行なっている、女性として、社会に出てゆく前に身につけなければならない、最も基本的な人間教育を行なっている、ということを、過去の136年の経験をとおして私たちは確認してきました。

 その教育とは何でしょうか。大学での学びは、狭い意味での専門的知識や技能、技術、能力を身につけることだけでありません。専門的知識や技能、技術、能力を「知性」という言葉でまとめるならば、その「知性」はもちろん重要です。しかしそれと並んで同じ程度に重要なものが、「品性」、そして「人間性」です。皆さんが卒業される頃までには「知性」はもちろん「人間性」も「品性」も豊かな人間に成長していてほしいと私たちは願っています。

 人間性とはなにか、一言で言うと、人間はだれでも皆、等しく尊い存在であるということがわかる力です。男性でも、女性でも、年輩者でも、幼児でも、どんな職業についていても、健康であっても病人でも、人種や民族によらず、どんな言葉を話しても、弱い人でも、失敗した人でも、人間はみな等しく貴い存在である、ということがわかることです。これはそう簡単なことではありません。

 品性とはなにか、一言でいうと、自分を超えた高いものの存在を感じることができる力です。「品性を育てるには良い芸術に触れるとよい。美術館に行ったり、良い音楽を聴くと良い」と一般的に世間で言われ、品性と芸術との関係が深いように、多くの人が感じます。その理由は、良い芸術作品に接したときに、そこに自分の今の感覚で把握できるものより、もっと深く、広く、高いものがあるという印象を私たちが受けるところからくるのでしょう。今、目の前にあるものよりももっと視野が広く、レベルの高い世界があることをわかる力が、「品性」であると私は思います。

 大学教育の目標は「知性」を伸ばすことであって、人間性や品性の涵養は、副産物、派生物と位置付け、「知性を磨けば人間性と品性はあとから自然についてくる」と考えてきたところに、過去の数十年間の教育の誤りがあったのではないでしょうか。

 私たちは良い人間になるように、もっと意識をして努力しなければなりません。それを励まし、進むべき道を示し、それを案内するのが、よい教育機関であると私たちは思っています。そして活水学院には良い人間になるための教育を提供する土台に、「建学の精神」として136年間守り続けてきた、キリスト教の理念があります。

 活水学院の建学の精神であるキリスト教の理念とは、つぎの三つに集約することができます。その1は、人間よりははるかに高い存在である神が、この天と地とその中のすべてのものを作られたということ。その2は、神は作られたものすべてが、十分にその個性と能力を伸ばすことを喜ばれるということ。その3は、作られたものすべてが力を合わせて、愛と正義にあふれる美しい社会を築くことが、神の望みであるということです。

 私たちはなぜ生まれてきたか、生きている間に何をしなければならないか、どこに向かって歩んでゆくべきか。そういう、人間としてこれから生きてゆくために最も基本的なことを、皆さんには、活水女子大学におけるこれからの大学生活の中で学んでいってください。そのことを伝えるために私たち教職員は心を込めて、力を尽くして教育に当たろうとしています。皆さんもぜひそれに応えて、共に歩んでいってください。これを入学式の式辞といたします。

 

 
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